母の上京物語〜4日目③〜

雨上がりの銀座

13:00

歌舞伎座から外に出ると、外は気持ちいい風が吹いていた。空は見渡す限り雲はなく、青で塗りつぶされていた。

向かいに群馬アンテナショップの「ぐんまちゃん家」があったので覗いてみた。群馬県の特産物がたくさんあった。少しまったりした後、テレビでも話題になった「GINZA6」に行ってみようという話になった。

台風一過の銀座はキラキラと輝きを放つ。大きなガラス張りのビルの中にはオシャレなお店、そしてオシャレな客。路駐されているのは、運転手付きの黒塗りのベンツ。歩道はさまざまな人種でごった返す。

途中、「黒革の手帖」で有名なあのビルの前で写真を撮る。

GINZA 6

GINZA6は、ブランドがたくさん入った商業施設なので、我々にはあまり縁がないが、内装が煌びやかで、さすが今年できたビルだなぁと思った。

このブツブツはあの人だ。ほらあの人、とみんなで、名前は思い出さなかったが、あのおばあちゃんの顔は思い出していた。

兄貴が「屋上があるらしいから行ってみよう」というので、ついていった。13階建の、銀座の真ん中の屋上は清々しい。東京タワーもスカイツリーも一望できる。芝生が生えていて、空中庭園のようだ。カウンターでお酒も飲める。

外を眺めていると、おかんが、ニコニコと笑顔が可愛いおじいさんに話しかけられていた。

「あっちからは富士山も見えるよ~」

その言葉に誘われ、富士山が見える場所に連れていってもらった。

ビルの合間に、富士山がはっきりと見えた。

雪がまだ積もっていないですね、とおじいさんにいうと、

「かき氷を上からかけにいこうよ!」とニコニコしながら言った。

ビルのおじいさん

この親切なおじいさんは冗談ばっかりいう面白い人だったので、私はしばらくお話した。(おかんと兄貴はどこかにいなくなった。)するとそのおじいさんは、自分は竹中工務店の設計士だという。ヨレヨレのスーツにボロボロのカバン、そしてもうすでにどこかで一杯やってきたようなほんのり赤ら顔、どう見てもホームレ・・・いや、その辺のしがないサラリーマンにしかみえないおじさんが、あの日本大手ゼネコンの設計士だなんて。やっぱり人は見かけによらないなぁ。

「あのビルも私が設計したよ、あのビルも、あれも。あのビルはね、半分が日本航空で、もう半分が電通・・・」

と、一望できるビルを全部説明してくれた。ビルの高さも知っていた。この状況でこんなに有難い案内人がほかにいるだろうか、いやいない。

「おじさん名前はなんですか?」

「名前は教えない。でも私は、早稲田の建築を出た、竹中工務店の設計士だ。そういえばわかるだろう。」

「そうですか、私の名前は松野です、松野宗孝です。」

「あんたと話してると、楽しいよ。わしゃらあんたが好きだよ。」

2人で屋上を一周まわる間に、色々な話をした。これは10月に咲く桜なんだよ、とか、あれは千葉の房総半島だよ、とか。今日は午前中仕事して、昼に一杯ひっかけて、これからソフトバンクの本社で会議があるらしい。

おじいさんありがとうございました。

不思議な出会いだった。

兄貴とおかんは、テラス席に座って、白ワインを飲んでいた。

「あの人おじいさん、すごい人だったよ!」とおかんに話したけど、「へ~」というだけで、全然信じてくれなかった。

「普段はああいうヨレヨレのどうでもいい格好してる人ほど意外とすごい人なんだよ!」と説明したけど、全然響いてなかったので、話すのをやめた。

お腹が空いたので少し遅めの昼食を食べるため、私たちはGinza 6を後にした。

ちなみにオカンはスッといなくなったあとは、ゴロゴロしてたらしい。

兄貴撮影。

つづく

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