母の上京物語〜2日目①〜

10月21日(2日目)

よく眠れた。フロント横の食堂で朝食バイキング。クロワッサンが美味しい。食事担当の女性スタッフが笑顔で挨拶をしてくれた。「サラダ、お待たせしました~!」と元気よく声を出す。ここの接客はすごく気持ちがいいなぁ。

朝ごはん食べながら、話し合った。超大型の台風21号が関東に向かっていた。横浜の元旦那(以下Sさん)に会いにいく予定が23日だったが、もし台風の影響で電車が止まってしまったら大変だから、今日の午前中に行こうという話になった。ちなみにこの日は、メインイベントである挙式が14:30からあるので、それまでに亀戸に戻らなければならない。時間的にはあまり余裕はないが、私たちは今日の横浜行きを決意した。さっそくSさんに電話して11時に青葉台駅に来てもらうようにお願いした。

外は台風の影響で雨が降り始めていた。亀戸駅から中央総武線で錦糸町、メトロに乗り換えて約1時間で青葉台だ。メトロの中で楽しく話していたら、向かいに座っていた、30代の女性がずっとこっちをみていた。その女性は私の前にスッと近づき「財布、落ちてますよ!」といって、下車していった。床に私の黒い長財布が落ちていた。親切な人だ。危なかった~。おかんと兄貴には、しっかりしろよと揶揄された。

37年の時を超えて

11時ちょうどに青葉台に着くと、改札口にSさんは待っていた。81歳とは思えないシャキッとした姿勢で佇む白髪のおじいさん、これが兄貴のお父さんか。顔、似てるなぁ・・・。おかんは37年ぶりに再会するSさんのとこが全く分からなくて、しばらくキョロキョロしていた。昔は大きな男だったが、今は1周りも、2周りも小さくなったらしい。Sさんの手を握ると氷のように冷たかった。30分ぐらい、冷たい風が吹き付けるこの駅で待っていたらしい。すぐに駅ビルのしゃぶしゃぶ屋さんに連れていった。歩くスピードはとても遅いが杖は持っておらず、自分で歩いていた。

Sさんは、37年ぶりに会う母の印象を「他人みたい」といい、「若いなぁ、もっとずんぐりむっくりした太ったおばちゃんになっていると思ったが、痩せているなぁ」と言った。Sさんは昭和10年、静岡県生まれ。玉音放送は10歳のときに聞いた。お兄さんが戦死したという話を涙を浮かべながら話してくれた。私が「松野」という苗字なので、トヨタ自動車の創設者、豊田左吉の友人の松野喜伝治(きでんじ)の話をしてくれた。喜伝治は豊田左吉が事業で失敗したときに助けてくれた恩人らしい。私は幼い頃からおじいさんとおばあさんの存在がないまま、育った。なので、このようにおじいさんから昔の話を聞くことは私にとって貴重な体験だった。Sさんはしゃぶしゃぶをたくさん食べた。81歳とは思えない食欲だった。おかんがSさんにズボンを買ってあげたいといい、1階にあるユニクロでズボンを買ってあげた。

ふと気付けば、13:30だった。これは大変だ。私たちは急いで錦糸町行きのメトロに飛び乗った。

車内連携プレイ

私の左隣に男子高校生が座っていた。彼は途中下車し、その席におじさんが座ろうとした。するとおじさんが席を指差して「これ、あなたの財布ですか?」というので見ると、黒い長財布が置いてあった。私のかな?と思い、すかさず中を見ると、高校の学生証が入っていた。さっきの高校生だ!!と思い、バッと立ち上がり周りを見るも、高校生の姿はない。「財布、財布!」と叫びながら、考えを巡らせた。車内に緊張が走る。もうドアが閉まる。降りるわけにもいかない。そのときだった。車内の40代の女性が、外で財布を探す仕草をする高校生を見つけ、「あなた!財布ないの!?」と叫んだのだ。おばさんの目線の先には、私の隣に座っていた坊主頭の高校生がカバンをゴソゴソしていた。次の瞬間、私はおばさんに財布をパスした。おばさんは「はい!」と、ドア越しの高校生に財布をパスした。次の瞬間、ドアがプシューと閉まった。本当にギリギリだった。高校生は窓の向こうで嬉しそうにお辞儀していた。

私はおばさんに向かって「連携プレイ!!」と叫んだ。車内は妙な一体感と笑顔に包まれた。

行きに財布を救ってもらい、帰りに財布を救ってあげた。不思議な出来事だった。

大人3人本気で怒られる

14:30から挙式なのに、14:00の時点でまだメトロの中だった。グーグルマップ先生によると、車の方が少し早いようだったので、一か八か、表参道駅で降りてタクシーに飛び乗った。

会場に着いたのは14:40だった。結局、挙式には待ち合わず、写真撮影から参加した。29歳と41歳とは69歳は、結構本気で叔父さんに怒られた。

「何しよんのか、お前らは!お??」「どこいっちょんたんか??お??」こういうときおかんはすぐ俺の後ろに隠れるのだ。普通親ってこういうとき率先して矢面に立たない??と思いながら、謝り続けた。私は披露宴が始まるまではこうべを垂れて、反省ムードだったが、母はすぐにケロッとして、わははと笑いながら姪っ子に話しかけていた。あんたすげぇよ。

つづく

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